「最後の一葉」や「賢者の贈り物」は、誰もが一度は読んだことのある名作ですが、O. ヘンリーの短編の数々は、普通の人々の何気ない暮らしに向けられた彼の温かい目がいつもありふれた日常の中にこそある「幸せ」を見出し、見つめていることに気づきます。
そして、そこには常に希望があります。
五作品をオムニバスでお届けする劇団芸優座の「The Last Leaf −O. ヘンリー物語−」・・・短編の名手といわれるO. ヘンリーの見事なまでの『どんでん返し』の数々をお楽しみ下さい。
第一場 公園にて
少年ボブは小遣い稼ぎに、暗い感じの青年アーノルドの大きな旅行鞄を持って駅まで案内していたが、もうへとへと。そこで公園のベンチで暫く休むことにした。
第一話 心と手
そこへ粋な身なりの青年と風采の上がらない中年の男がやってくる。なんと二人は手錠で繋がれていた。通りかかった都会的な女性が、突然青年を呼び止める。どうやら何か深い事情がありそうで、しかも中年の男までも割り込んできて・・・
第二話 愛の使者
再び駅へ向かおうとすると、突然アーノルドが青い顔をして、向こうのベンチの女性に伝言を頼みたいと言う。偶然通りかかったその女性は、実は三ヶ月前にアーノルドが捨てられたばかりの恋人だったのだ。二人の間で右往左往する羽目に陥ったボブは・・・
第二場 治安判事の部屋
第三話 人生の回転木馬
ある日ボブが、田舎からやってきた男女を治安判事の家に案内するが、二人は州の法律に反して離婚したいと申し出る。たっての頼みに判事は、手続きとして離婚式をしなくてはならないと言う。ようやく式を挙げ、晴れて赤の他人となった二人は・・・
第三場 ボブのアパート
「芸術家の村」と呼ばれるボブのアパートには、貧しいながらもユニークな住人が大勢住んでいた。
第四話 賢者の贈り物
評判の仲良し夫婦ジムとデラは、クリスマスが近いので、お互いにプレゼントをどうしようか悩んでいた。ジムはデラが美しい髪を自慢にしているのを知っており、デラはジムが父の形見の懐中時計を大切にしていることを知っており・・・
第五話 最後の一葉
ボブの姉のスウディは同じアパートの絵描き仲間ジョンジーを看病していたが、彼女は窓から見える蔦の葉が、全部落ちたら自分も死ぬのだと信じ込んでいる。医者も匙を投げるような有様だったが、クリスマスイブの晩、三階に住んでいる画家ベアマンが・・・
<作品情報>
・原作/O. ヘンリー
・脚本/平塚仁郎
・演出/村田里絵
・上演時間/約110分(休憩10分)
・対象/中学生・高校生・一般
体育館に入るといつもとは全然違う雰囲気で、これまで見た事のない大きなセットにびっくりしました。演劇がはじまると、すぐにその世界に引き込まれて最後まで食い入るようにみてしまいました。登場人物の演劇が真に迫っていたり、たまにはおどけたりするところがあってそのたび心が動きました。特に心に残ったのは「賢者の贈物」で貧しく、自分の大切なものを手放しても相手の人に喜んで欲しいという気持ちが伝わるところでした。アパートの住人の助け合いが温かいと思えたし、背景、音楽、小道具など全て一体となり一つの世界を作り出しているのが凄いです。
F高等学校3年女子生徒
とても楽しく見れました。プロの方は声量もすごいし、感情の込め方が見ている人に伝わりました。舞台セットもすごいと思いましたし、背景の絵も細かいところまで描かれていて、現実感もありつつ温かみもあったのが印象的です。第1話の「心と手」が印象的で人は見かけによらぬものだから、僕も人を見た目で判断するのはやめて本質を見抜く力をつけようと思いました。
F高等学校3年男子生
私は劇を見るのが好きなので、今日の芸術鑑賞を楽しみにしていました。幕が開いて最初に思ったのは「セットがすごい」です。普段は見れない本格的なセットだったので「プロの劇が見れるんだ」と実感しました。ボブの周りであった出来事は、けっこう深くていい話で、さらに子供のボブのおかげで楽しみながら見れました✨ あと、看護師の人と(笑)。最後の一編では他人のために大切な絵を売って入院費用を払った人や、大事な髪、時計を売って相手へのプレゼントを買った2人を見て、大切な人のことを一番に考えて行動できる人はすごいなと思いました。私は少しでもそうなれるようになりたいです。
B高等学校3年女子生徒
なんだかアメリカの国にいて見ているようなぐらい吸い込まれました。セットがすごかったからです。立体感があって、その場面をイメージして観る事が出来ました。他の物語もぜひ鑑賞したいと思いました。3年に1度ということで高校の間ではなかなかこういった素晴らしいものを見る機会は少ないですが、すごく興味を持ちました。ありがとうございました。1つ気になったのは、葉はどうやって落としてたんですか??
B高等学校2年男子生徒
私は今までの人生で、まだ一生懸命に何かを諦めないで頑張ろうと思ったことがありません。でもこの物語を見て、何かに一生懸命になるのもいいなと思いました。登場人物のように、私も一人で生きているのではない、必ず誰かに支えられて生きているんだって感じました。
F高等学校2年女子生
僕たちも日常生活で様々な悩みや問題に直面するけど、その問題は必ず解決できるという希望を持って最後の最後まで物事を諦めないことが大切だと思いました。また、ちっぽけな悩みや問題があるからこそ、僕たちは幸せなのかなと感じました。
T高等学校2年生女子生徒
笑いもアリ、感動もアリですごく楽しかったです。とても大きな声ではきはきとセリフを言っておられてとても聞きやすかったです。またセリフを言う時の表情などがステージから離れた席からでもとてもよく見えて話の世界にぐっと引き込まれました。舞台のセットや衣装の細かい所までこだわっていてすごいなと思いました。あんなに感動するとは思いませんでした。また芸優座さんの別のお芝居も見てみたいです。
J高等学校1年男子生徒
これだけすごい演劇を作り上げているのはキャスト人だけではない。スタッフもだ。このスタッフたちの力で舞台を支えている事を決して忘れてはいけないだろう。例えれば葉の表面には太陽の光を浴びて輝いている。一方、葉の裏側はどうだろう。決して、表面ほど僕たちの視線を集めない。しかし、裏がないと表は存在しない。ということを改めて思った。
J高等学校1年女子生徒
緞帳が上がってバックの「森の景色」の美しさと大きさに感動し、どんな物語がここで展開されるのだろうと、思わず目を見張りました。1人の男の子が4つの物語を上手くつなげて、「最後の一葉」に展開していく演出に感心いたしました。また、文化祭で自身の演劇を予定している生徒には、自分たちの劇に生かせる点を見いだせた様で、その様子が教室に帰ってきた表情からも分かりました。
B高等学校教職員
何といっても豊かな表現力に感動しました。信頼関係の中でこそ豊かな表現力が生まれ、育つのだと感じました。子どもたちの表現力を育てるためには、やはり集団つくりが基になるのだと再確認できました。
M高等学校教職員
コロナ渦の中での実施は大変ありがたかったです。また、会場がいつも使用している場所から変わりいろいろ大変だったかと思います。どうなるかと思いましたが、入口でスタッフの方々の明るい挨拶がとてもよかったです。会場は以前よりも狭いことが臨場感を生み、演者の表情がよくわかりいいなと思いました。スタッフの方々の心遣いをいたる所で感じました。ありがとうございました。
J高等学校教職員