★南吉童話の世界をたっぷりと・・・
夭折の童話作家・新美南吉の作品から三作品をオムニバスで、それぞれ南吉の幾つか他のお話を盛り込んだ、原作とは少しずつ違う芸優座オリジナル脚本でお楽しみ下さい。さらに豊かな作品世界となるよう、幕間には「鍵おばさん」が南吉の生涯についても、簡単に分かりやすく解説しています。夢に向かってひたすら一生懸命生きた南吉さんのエピソードは胸をうちます。
★本を読む楽しさと、お芝居の面白さ・・・
良い本・面白い本を読むと、登場人物たちが生き生きと動き回るのが見えてくる、そういった経験は皆が持っていることでしょう。幕が上がると、まるで誰かの頭の中を覗いているような気分になる、そんな楽しい経験をして頂きたい、それを通して、お芝居の魅力にも気づいて頂きたい、そう心から願っています。
★全編を貫く「親子の情」・・・
子供たちが何かに挑戦という時、新しい世界に飛び込んで行こうという時、それを見守る親のまなざしはきっとすぐ近くにある、そして、それさえあれば、きっと自分を信じ、勇気をもって、一歩踏み出すことができるでしょう。それはどんな時代にあっても、大人になってからも、変わりません。どんな時でも、常に自分を信じていてくれる人の存在を、忘れずにいて欲しい・・・そんな願いを込めてこの作品を制作しました。
第一話 手袋を買いに(「孤」「手袋を買いに」より)
ある雪の日、いつまでも甘えん坊の子狐に、母狐は、いつかは独り立ちしなくてはならない事を教えようと思い立ちました。そして怖い怖い人間が住んでいる町まで、坊や一人で手袋を買いに行かせることにしました。母狐は子狐の片方の手だけ人間の手に変え、扉をちょっとだけ開けたら、「この手に合う手袋を下さい」と人間の手の方をさし出すように言います。勇気を奮い立たせ、出かけた子狐は・・・はたして、手袋は無事に買えるでしょうか?
第二話 うた時計
冬の暖かい日、峠の道で少年はある男と出会いました。話をしているうちに偶然、男のコートのポケットからオルゴールが鳴り出します。それは少年の大好きな音楽でした。よく行く薬局にも同じ曲のオルゴールがあり、薬局のおじさんがそれをとても大切にしていて、その曲を聴くといなくなってしまった息子を思い出すことや、少年の妹が病気で死ぬ間際に聞きたがったことなど、少年から聞くうちに男は・・・。一体この人は誰なのでしょうか。
第三話 花のき村の盗人たち
花のき村に五人の盗人たちが、 一仕事しようとやってきた!!でも、かしら以外はド素人で、 みんな前の仕事の癖が抜け切らず、まともに下見すら出来ない始末。子分たちを叱りつけ、 再び村へ行かせると、かしらの元に突然、小坊主がやって来て、何やらとんでもない事を頼み込み、いなくなってしまいます。その上、今度は白髪の老女が現れて・・・。やがて帰ってきた子分たち、かしらの様子がおかしいことに戸惑いつつ・・・。 はたして、花のき村の運命は・・・。
<作品情報>
・脚本/平塚仁郎
・演出/村田里絵
・上演時間/約95分(休憩10分)
・対象/小学生